風暦

あなたの 語りかけるような
話し方が好きでした
たとえば私が 小指を切った時
白い包帯巻いてくれた
あなたはもう小さな アルバムの中で
笑っているだけの人
泣きながら 部屋を飛び出した
小雨模様の あの夜に
もしも追いかけて くれたならば
私にはあんな 些細な出来事で
愛が終るなんて とても思えなかった

遠くを見つめる 横顔が
淋しそうで 好きでした
煙草を吹かして 私の気まぐれに
疲れたんだと つぶやいた
あなたはもう誰かの やさしさの中で
暮して いるのでしょうか
夕暮れの風は さやさやと
暦をめくる あの夜に
髪を染め変えて しまえたなら
私には一つ季節が 過ぎるたび
夢が消えるなんて とてもたえられなくて
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