旅の酒

北の外れで 飲む酒は
人の温もり 燗の酒
生きてる匂いが よく似てる
知らぬ同士が 手拍子合わせ
どこか寒そな 提灯に
歌を聞かそうか 旅の酒

雨の港で 飲む酒は
遠いあの娘を 憶う酒
苦さを飲み干す ぐい呑みに
何も聞かずに 酌してくれる
店のオヤジの 無口さが
やけに沁みるよ 旅の酒

ひとり湯の町 飲む酒は
母を浮かべて 手酌酒
つまらぬ愚痴など こぼさない
そんな強さが 男にあれば
酒に強くは なるまいに
詫びて詫びれぬ 旅の酒
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