陰獣

海のまにまにドンブラコ
ウネウネ終日(ひねもす)のたのたり
海月(くらげ)の宴で吹く笛は
破瓜の涙と血の音色

盲(めし)いた獣を呼び出せ
邪教の儀式に狂えるまま
陰獣

堕胎の狂女がアッパッパァ
エベエベ笑ってまた孕む
へその緒ちぎった錆びた鎌
真昼の戦慄草いきれ

盲(めし)いた獣を呼び出せ
邪教の儀式に狂えるまま
陰獣

太古の眠りを貪り倦(う)みて
今や屍骸に宿るらむ
示申を忘れし似非(えせ)詩人をして
百鬼夜行と呼ばせしむ

宇宙の歪みから………
墓場の澱(よど)みから………

禁忌の咆哮衆愚を喰らいて
げに物の怪の恐るべし
久遠を閲(けみ)しし地底の示申殿
異形像には觸れるまじ

宇宙の歪みから………
墓場の澱(よど)みから………

屋根裏部屋からオドロドロ
ズリズリ蠢く魑魅魍魎
月下に禁書が紐解かれ
腐臭に夜鷹もほくそ笑む

盲(めし)いた獣を呼び出せ
邪教の儀式に狂えるまま
陰獣
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