都市夫は死ぬことにした

都市夫は死ぬことにした
時雄は飛べなくなった
則夫はピストル撃った
義夫は時計を止めた
由紀夫は未来綴った
富士男は過去を語った
恒夫が人を殺せど
光男は人間だもの

都市夫の身体は宙を舞い僕らの街に落ちてく
それを見つめてた君は消えてくメロディ口ずさんでいた
都市夫のゆびさき宙を指しミサイルみたく飛んでくる
それを見つけても君は気づかないだろう
まだ夢のなかだから

都市夫とうとう気づいた 年をとれない自分に
都会は変わりゆくのに 時は流れていくのに

都市夫ようやく気づいた 取り返せない時間に
時計は止まってるけど 飛んでる鳥は止まってるけど

小さな家とキャンバスと他には何もない
絵筆にしたたる赤い血で 描く君のモノローグ

都市夫ほんとは知ってた ネジがはずれた自分に
「時計のネジがないから 時が進まないだけさ」

都市夫ようやく気づいた 取り戻せない約束
時をかける少女も トランクのなかで泣いてるけど

モモに頼んで取り戻せ あの子嘘つき
絵筆に咲いてる赤いバラ 飾る君のエピローグ

都市夫の身体は空を裂き僕らの街に落ちてく
それを見つめてた君は絵を描く夢を諦めかけてた
都市夫の涙は火を放ち光みたいに瞬いて
それに気づいても君は目を背けたね
もうすぐ夢も終わるけど

「都市夫は死ぬことにした
時雄の代わりに空を仰いだ
都市夫はバラバラになる
時雄の代わりに身代わりになる
則夫のピストル時計を止めて
義夫のベッドにサルビアの花
由紀夫は書いた 富士男叫んだ
恒夫も光男も人間だもの
都市夫は飛ぶことにした
鳥より高くは飛べないだろう
時雄は瞳を閉じた
それでも世界は消えないだろう
説明しよう 世界の仕組み
解き明かそうか 都会の仕組み
人という字は 人と人とが
ひとつなんだ 人間」

小さな家とキャンバスと他には何もない
絵筆にしたたる青い空 染める君のモノローグ

都市夫の言葉は雨になり僕らの街に降ってくる
それを見つめてた君は「東京には空がない」というだろう
そして僕らいま雪になり僕らの熱で溶けるだろう
だけどだいじょうぶマイフレンド 風邪をひいてるだけ
まだ夢のなかだから

都市夫は死んで 時雄も死んで
則夫も死んで 義夫は消えた
由紀夫は死んで 富士男も死んで
恒夫も死んで 光男は逃げた
逃げてもいいさ 人間だもの
逃げてもいいさ 人間だもの
逃げてもいいさ 人間だもの
逃げても何時か捕まるさ
人間だもの
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