アビス

優しい波の色
透き通る 雲は流れて

短い目眩の後で
流れ出す幻

湿った風は 揺り籠みたい
あやすように煽っていくの

誰もいない この海で
名前のない星 見つけるの
泳いでいたい 心のまま 迷子のまま

青の狭間で 抱き寄せて
お願い二度と もう帰れない
溺れていたい 月の傍で 裸のまま

黄昏染まる頃
ひび割れた 遠い砂浜

霞にそっと閉じ込めて
絵のような 静けさ

岬にかかる まっさらな朱(あか)
互い違いの影おとして

熱い体 横たわる
こんなに小さな 星の上
漂っていたい 何もかも 置き去りにして

青の底で 捕まえて
お願い光は もう届かない
眠っていたい 夜の淵 迷子のまま

誰もいない 青の狭間で 溺れていたい
お願い二度と もう帰れない 漂っていたい

誰もいない 青の狭間で 溺れていたい
お願い二度と もう帰れない 漂っていたい
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