あわれなジャン

お聞きよ兄さん 世にもあわれな
金持ちジャンのこの歌を
男と生れて 女遊びも知らぬ
気の毒さ

ジャンも昔は名士のひとり
絹のねまきも着ていたが
どうでしょ皆さん 抱いて寝る娘(こ)をもたぬ
気の毒さ

いつも飲み屋をわたり歩いて
カクテルなめてとくいだが
ほほすりよせる恋人一人いない
気の毒さ

お金持ちだと ちやほやしたり
人はおせじを言うけれど
陰では皆んなでバカにするのよ
これじゃ気の毒さ

二度とは来ない 人生の春
楽しむならば お兄さん
勲章がわりに 女を首に
いつもさげなさい

そうでしょ 皆さん
この世で一番 大事なものは
恋よ
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