夕焼けの丘

風に揺れる枝を
見上げたら 思い出した
揺り椅子に抱かれて
まどろんだ 昔話

空を染める夕日
遠い国の話 憧れた

私が生まれた 雨の水曜日
傘もささないで 家(うち)へ走る
初めての孫を 腕に抱き上げて
泣かせてしまった話 思い出す

暖炉の上にある 写真から
見つめている 優しい笑い顔
いつまでも 見守っていて

土に帰る事は何もこわくないと
目を閉じた

涙で滲んだ 夕焼けの丘に
花束を抱え 歩いて行く
私の心に 今も生きている
たくましい腕と 優しい微笑み

自分を探しに 家を出たあの日
元気でやれよとかすれた声
こぼれた涙は パイプの煙りが
目にしみただけと 笑っていた

一人で佇む 夕焼けの丘に
懐かしい風が 流れてゆく
私の心に 今も生きている
たくましい腕と 優しい微笑み
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