京おんな・みなこ

悲しいことは あらしまへん
うちはもう 泣かしまへん
加茂の河原の せせらぎに
夢をひとつ 流します
頬づえをついては
ため息 夢まじり
待ちくたびれても
待ちこがれていた
待ち暮らすことも 女の幸福と
北一乗寺 下がり松
おみくじは 吉どした

恨む気持ちは あらしまへん
うちはもう 泣かしまへん
流し友禅 あでやかに
恋の色に 染め上げる
黒髪をとかして
朧月の夜
読み返す手紙
読み取れるまでは
心の炎を 消さずに暮らします
大原女のあと ついてゆく
ひとり渡る 渡月橋
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