くちなし悲歌

忘れていた夢を見たのよ あなたに
まだそんな 気持ちになれる
自分が 嬉しくて 可愛くて
夢の上に 夢を重ねたの
あれは梔子の咲くころ
私は子供のころの お伽話が
帰ってきたと 思ったわ

だって人は 淋しすぎるわ 独りじゃ
目がさめて あなたがいると
私は それだけで 過ぎた日の
いやなことを 忘れられたわ
甘い梔子の匂いに
私は子供のころの 小さな歌を
思い出しては 歌ったわ

でもやっぱり 無理が
あったの どこかに
神様は 優しくなかった
岬に 秋風が立つころに
私たちは微笑って別れた
いつか 梔子が咲いても
私は 子供のころの
お伽話を 口にしないわ
もう二度と

誰かが言っていた
梔子は物言わぬ花

誰かが言っていた
梔子は物言わぬ花

誰かが言っていた
梔子は物言わぬ花

誰かが言っていた
梔子はさよならの花
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