港恋うれば

流された男の記憶の隅に
港町が浮かぶ
おぼろげに揺れる女がそこで
海を見つめてる
濁り波かすめ 海猫飛べば
俺に抱かれて 人恋唄を

誰に溢るる この涙
岬の春は 遠き夢
寒い…寒い…と束風(たばかぜ)に
来る人 去(ゆ)く人 恋うるだけ

ひからびた酒場で女が咽(な)いた
港町が浮かぶ
“出発(たびだち)はいつ?”と とっくりを差す
指が震えてる
海鳴りが吠えて 背中を打(ぶ)てば
俺に抱かれて 人恋唄を

いとし面影 さがしても
儚(はかな)き恋は たおれ花
されど…されど…と山茶花(さざんか)に
来る人 去く人 恋うるだけ

誰に溢るる この涙
岬の春は 遠き夢
寒い…寒い…と束風(たばかぜ)に
来る人 去(ゆ)く人 恋うるだけ
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