おみやげ

なんだか 足が軽いと思ったら
さっき電車の中で
知らないよその赤ちゃんが
笑いかけたのだった
わたしを見て嬉しくてたまらないように

その笑い顔を
いつのまにか 胸にかかえていて
それで 夜道の足もとを
てらすようにしながら
わたしは急いで 急いでいるのだった

父がいなくなった家で
ひっそり 待っている母に
そのおみやげを
はやく見せてあげたくて

なんだか 足が軽いと思ったら
さっき電車の中で
知らないよその赤ちゃんが
笑いかけたのだった
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