音木箱

ひとつ ふたつ
三つ編み、を数え唄でほどいた。
編みこまれたの

愛し母を たぐる音色

ひとり ふたり
山査子(さんざし) を、かぎ編み棒にさした
幼すぎたのか十四
立ち尽くした酸っぱさ。

これまで ため込んできた
「ごめんね」
ごと、
いま開けて

音木箱 は 君と夜を溶かし つらら つらら

ひとつ ふたつ 薬指
あれ は、 おとぎの話し
火傷したのは
十七
今は金色の糸。

これまで ため込んできた
「ごめんね」
ごと、
いま開けて

音木箱 は 君と僕を溶かし つらら つらら

これまで ため込んできた
「ごめんね」
ごと、
いま開けて

音木箱 は 君と夜を溶かし つらら つらら

これまで 許し続けた
「ごめんね」
さえ、
いま開けて
音木箱 は君と僕を溶かす

つらら
つらら
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