太鼓たたいて

破れ太鼓で お客をよんで
旅から旅へ 笛吹いて
ゆけば 二十歳もすぎてゆく
雨の夜明けに 目がさめて
濡れた幟(のぼり)をたためば ひざに
なぜか涙が ほろりと落ちる

女心を えくぼで隠し
おどけて歌って 笛吹いて
ゆけば 山から日が暮れる
人の恋しい 旅の空
せめて夢でも いとしい人の
胸に抱かれて 甘えてみたい

ちびた紅緒の 幼い日から
白粉(おしろい)溶いて 笛吹いて
ゆけば 儚い恋を知る
一人留守居の 楽屋裏
髪の匂いに ふとあの人を
思えば袂(たもと)を 抱く手が燃える
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