1000の国を旅した少年

くたびれた 馬車に揺られ
少年と 話をした
1000の国を 旅したという
その目が見て来たものは

天空に浮かぶ城や
怪物や 宝の島
ある町の 賢者は言った
少年の肩を抱いて

「愛しか知らず 生まれた者が
愛の意味を忘れて 生きてはならぬ」

干し草の ベッドの上
星空を 見上げながら
旅に出た 訳を訊くと
少年はそっと泣いた

「泣いて叫んで 生まれた者が
涙かくし一人で 生きてはならぬ」

少年は 最後に言った
「1000の国を 旅したけれど
探してた 愛はきっと
すぐそばにあったんだ」と
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