くちなし情話

好きで我が子を 死なせる母が
どこにいましょう いるならば
それは鬼です 母親じゃない
白いくちなし 匂う夜は
なぜかあの子が この乳房
探し求めて いる気がします

それであなたの 気が済むならと
ひどい仕打ちも 裏切りも
耐えてきました やつれた胸で
そんな私を 置き去りに
逝ったあなたを 恨みます
ましてくちなし 零れる宵は

可愛我が子を 亡くした母に
乱れ縁の 置き土産
抱けば泣けます 幼いこの子
白いくちなし 目で追って
こぼす笑顔に 罪はない
生きて行きます この子とともに
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