港に向いた窓

ため息まじりの 霧が流れて
女は今夜も ほおづえついた
煉瓦(レンガ)通りの 向こうがわ
港灯りが ぼんやりにじむ
ぽとりと 女は 涙をこぼす
淋しいんだろ 淋しいんだろ
ひとりぼっちは…

靴音ひびいて 影が過ぎれば
古びた木枠(きわく)の 出窓が開く
霧がこんなに 濃い夜も
船を待つのか 瞳を凝らし
汽笛が 女の 心を乱す
恋しいんだろ 恋しいんだろ
夢の中でも…

夜更けにふらりと ドアをすり抜け
冷たいベッドに ぬくもり咲かす
朝に女が 眠るころ
潮の匂いの 枕が残る
やっぱり 女は 男の港
逢いたいんだろ 逢いたいんだろ
きっと今夜も…
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