逢魔刻

沈み始めた太陽が 朱と紅とを混ぜる頃
静けさが町を包み 家に入れと母が呼ぶ
人と魔物が逢い見える 魔魅の忌わしき逢瀬
黄昏刻は禍々しく 百魅生じて 災い成す (逢魔刻)

焼け落ちる様な天仰ぎ 溶けて行く陽を仰臥する
郷愁の目頭から しとどに溢れる泪
現世と隠世の狭間 暗闇の雲が交叉する
誰そ彼刻は苦々しく 無常の風を吹かせて去る (逢魔刻)

魑魅魍魎の行列が 鼻を掠めて行こうとも
聲一つ上げてはならぬ 只過ぎ行くを送るのみ
映ろう人の魂が 我が世 恋しと哭き叫び
鴉にその身 窶しても 浮かばれぬその怨念よ

戦慄の時間よ今 我が身を抱いて 舞い踊れよ
戻りはせぬ日に 想いを寄せて

黄昏刻は禍々しく 百魅生じて 災い成す
誰そ彼刻は苦々しく 無常の風を吹かせて去る
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