茉莉の結婚

最初のスピーチは小夜子
ちょっぴり翳のある小夜子
あの頃名うてのおしゃれぐるいで
グッチのバッグを粋に抱いていた
男は毎日変えるのよって
眩暈(めまい)がする程美しかった
それなのに小夜子 笑わなくなったね
逢えない二年に何があったの
オルガンに導かれ 花嫁がやって来る
おめでとう 茉莉
羨やむ程今夜綺麗ね

二番目のスピーチは繭子
眼鏡がよく似合う繭子
哀しいくらいに秀才だった
原書を斜めに読み飛ばしていた
雑誌のページを抜け出たように
女の生き方リブの走りね
変わらずね繭子 今でも独身(ひとり)?
心の裏では淋しいはずよ
ケーキへとナイフ入れ 花嫁が微笑むの
おめでとう 茉莉
羨やむ程素敵な彼ね

最後のスピーチは私
ちょっぴり皮肉言う私
「どちらが最初に結婚するか
競争しようって指切りしたのに
人は流されて光と影に……
私は今でも失恋上手」
仲良しの四人 あの頃の友情
こんなに遠くに離れるなんて
拍手へと囲まれて 花嫁が花を抱く
おめでとう 茉莉
羨やむ程倖せそうね
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