なきむし倶楽部

両手をひろげた その幅(はば)は
たかが背丈(せたけ)と おんなじ広さ
それでもあんたの 悲しみくらい
抱いてやれるよ おれでいいなら
星屑小路(ほしくずこうじ)の 突き当たり
ネオンもうるんだ“なきむし倶楽部”
ぽつぽつと聞かせてよ 涙の理由(わけ)なんか
泣くだけ泣いたら 見える虹
人生 やさしい意地悪(いじわる)さ

誰より不幸と 嘆(なげ)く夜
そいつも時には 必要なのさ
どこかに待ってる つぎの幸せ
もっと大事に 抱きしめるから
グラスの中には 海がある
あんたがつぶやく“なきむし倶楽部”
きれいだね いつかしら少女の瞳(め)をしてる
つまずきべそかき 立ち上がる
誰もが死ぬまで おさな児(ご)さ

今夜は子供に お帰りと
母の声がする“なきむし倶楽部”
この膝で眠りなよ 朝まで見てるから
生きてりゃ明日(あした)が きっと来る
人生愛しい いとおしい
×