じじい −おわりのはじまり−

あたりまえにそばにいた声
いつも絵本読んでくれた
何度も聞いてセリフ覚えてた
トラがバターになる話

わかってるようなこと言うから
うっとうしくて避けてた
夏休み会いに行けばよかった
時間はもうもどらない

よんでもよんでも
さけんでもさけんでも
返事してよねえじじい
わたしはここにいるよ

ねむりについたその先は
旅立ちなのか最果てなのか
おそろしいほど美しい顔
不思議にこわいんです
不思議にこわいんです

白と黒に囲まれて
すすり泣く声につぶされそう
重苦しくて逃げ出したいよ
だけど体が動かない

見送る喪服の行列
棺に乗ってどこへ行くの
わからないまま別れを告げる
けいす虚しく響く

泣いても泣いても
歩いても歩いても
会いたいよねえじじい
あなたはどこにいるの

ねむりについたその先は
旅立ちなのか最果てなのか
涙はたえずこぼれおちるけど
ほっとしてしまうんです
ほっとしてしまうんです

死んだ人にはもう会えない
けど思い出はよみがえる
いつでも見守ってくれてるって
思うのです

よんでもよんでもさけんでもさけんでも
返事してよねえじじい
わたしはここにいるよ

ころんでもころんでも
はなれてもはなれても
おしえてよねえじじい
あなたはどこへ行くの

手をのばしても届かない
いちばん遠い遠いとこへ
いなくなってもわたしはここで
今日も生きているんです
今日も生きているんです
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