海鳴り慕情

千切った手紙 舞い散るように
カモメは群れて 飛んでゆく
俺がおまえに してやれたのは
別れを告げる ことだけさ
すがりつくよな海鳴りが 海鳴りが
旅路の果てに ついてくる

群青色(ぐんじょういろ)の 荒ぶる海に
背中を向けて 汽車に乗る
捨てるしかない 大事な女(ひと)に
出逢ったさだめ 恨むだけ
ふいに黙った海鳴りに 海鳴りに
男の疵(きず)が また痛む

やすらぎなんて 嫌いな訳は
失うことが こわいのか
その日暮らしで 降り立つ駅に
おまえに似てる 白い花
追ってくるよな海鳴りを 海鳴りを
凍える胸に 抱いてゆく
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