Gemini ~片羽の報復~

身体が灼けるように熱いのは何故だろう…

黒煙 立ち上る空 馬車を走らせ
夜半(よわ)の嵐に胸騒ぎがする

猛火 群集う人 塵芥(じんかい)を掻き分け
目に映ずる悲憤(ひふん)と慷慨(こうがい)

外套(がいとう)で顔を覆い僕は震えた
人は容易く魂を売る

沫雪(あわゆき)のような灰となり
あなたは消えてゆく 永遠に

不実の愛を信じたばかりに滅びを招いた
一度きりの願い 僕が決して許さなければ良かった

火柱が音も立てずに崩れて行く

飛び交う火の粉の奥に視線を向ける
鐘が終わりの時を告げていた

人の心を持つ鬼か 鬼の心を持つ人か
取るに足りない命 穢れたその血で報いを

不実の愛を信じたばかりに滅びを招いた
一度きりの願い 僕が決して許さなければ…

あなたの愛した人はもういない
そしてこの街を白銀の世界へと葬ろう
二度と愛を語らぬように
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