愛をひと雫

二杯目の水割りを
マスターにオーダーしたら
あなた好きなジャズが流れてきて
ふとせつなさが込み上げてきたの

鈴が鳴る手押し戸を
開く度振り返るの
来るはずのないあなたのことを
いつものカウンター待っているのよ

グラスに愛をひと雫だけ
浮かべてください あなた
ガラス細工の恋のかけらを
飲み干したらみんな忘れるから

三杯目の水割りは
濃い目に作ってください
酔えない夜はまるで悲しい
喜劇を演じてるみたいだから

優しすぎると罪になるのよ
嘘つきな人 あなた
叶わぬ恋に濡れた瞳が
渇く頃にそっと忘れるから

グラスに愛をひと雫だけ
浮かべてください あなた
ガラス細工の恋のかけらを
飲み干したらみんな忘れるから
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