色文

燈り灯せば浮かぶ 夕闇の淡い影法師
染まる楓の木の下で唐衣に落ちた 儚い恋詩

貴方を想い胸が痛む時は永久の様
眺めた先の朱い水面に恋心重ね

泡沫の幻に逢えぬ姿探し
悪戯な宵闇は貴方隠し辛いや
艶やかな宴背に見上げるは眉月
…いとゆかし 呟き 綴る文の音

絶えず聞こえる 誰か呼ぶように鳴く鈴の音に
心揺らされ零した吐息は流れる秋風が運ぶ

微かに残る彼岸花の香り愛しくて
まだ見ぬ貴方 筆を走らす姿 想い描く

詠いあい名も呼べず遠き都 焦がれ
暮れて行く宵闇に貴方を見て痛いや
しのぶれど尚 逢えず 移る四季感じて
…いとゆかし 呟き 綴る秋の歌

ゆらゆらと沈む葉を取り
すくえば雫 文に落ち滲んだ

泡沫の幻に逢えぬ姿探し
悪戯な宵闇は貴方隠し辛いや
艶やかな宵背に見上げるは眉月
…いとゆかし 呟き 綴る文の音
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