能登しぐれ

すすり泣くのは 霧笛か鴎(とり)か
あなた失くした 女の胸か
冬も間近い 季節にひとり
恋のぬけがら 捨てに来た
海に未練の 浪が立つ
悲しみも雪まじり 能登しぐれ

わざと自分を いじめるように
傘もささずに たたずむ岬
二度とあなたに 戻れはしない
わたし浜辺の 捨て小舟
寄せる運命(さだめ)に 凍えてる
涙さえ雪まじり 能登しぐれ

一夜(ひとよ)泊まりの 情けの灯り
窓のしずくに あなたが浮かぶ
お酒相手に 聞く潮騒は
ひとりぼっちの 子守唄
夢に面影 流れ着く
さよならも雪まじり 能登しぐれ
×