放浪酒

灯りまばらな 裏通り
今日もひとりの 放浪酒
何もやれない 俺だから
惚れているほど 背を向ける
疵(きず)さ 疵だよ こころの疵が
今夜もお前を 抱かせない

闇の深さを 知るものは
触れちゃいけない 花がある
すがる眼をして わたされた
鍵をそのまま 置き去りに
夢さ 夢だよ 叶わぬ夢よ
あかりの小部屋に 帰るなど

夜の苦(にが)さを 道づれに
明日もひとりの 放浪酒
泣かせたくない どうしても
呑んで酔えない 夜ばかり
風さ 風だよ 凍える風が
丸めた背中に 吹きすさぶ
×