ハーモニカ吹きの男

毎晩 夢の中に出てきて
私を苦しめる男
のっそりと 背はとても高くて
おまけに髪もどっしり肩まで
意外な美声で 元気かいと言うと
小さなハーモニカを吹くんだ
忘れていた何かが広がってくるよ
夕焼け空や とんぼの群れが見えてくるよ
チェックのシャツに身を包んだ
あんたは あんたは 誰

そんなにやさしい音色で語らないでおくれ
胸が痛くなってしまう
忘れたわけじゃないが 私には
この人ごみから逃げられないのさ
今夜も夢に現われておくれ
小さなハーモニカを吹いておくれ
忘れていた何かを感じさせておくれ
身も心も人ごみにうずめるのはまっぴら
見飽きたほどのブルージーンのあんたは
あんたは誰

町の中をあんたを探して歩いた
本当に会いたくなってしまって
夢を見なくなるのが恐かったし
あのハーモニカの音が恋しくて
チェックのシャツにブルージーン
町にはいっぱい いたけど

広い大地や夕焼け空が
見えてくるような
ハーモニカを吹いている人は
いなかったよ
ハーモニカ吹きの男
あんたはあんたは誰
ハーモニカ吹きの男
あんたはあんたは誰
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