嗚呼あけぼの荘

二日酔いには酒がいいと 悪い友達がいう
痛む頭にたえかねて 一杯やったら
これが意外 心浮きうきスッキリ
明るい未来に さあさ張切りもう一杯
器量三分体が七分 そんな女だけれど
電話をしたら土曜なのに敵も一人ぼっち
そうさ君と さしつさされつ飲みたいね
出かけに一本 ウイスキーを買って来てくれ

野菜いためをドテンとおき
食べなきゃ駄目という
メシは山盛り酒は駄目ともう女房気取り
こんなはずじゃなかったのに後の祭り
ねえ今夜あたし 泊ってってもいいかしら
そしてこうして二年二ヶ月
あけぼの荘で過ぎた
相も変らぬ女出入りに 彼女もあきれて
とうとう五月 酔ったついでの痴話喧嘩
お前みたいな 夢のない女は出てゆけ

あけぼの荘の年も明けて 年賀状が八枚
雪の国から見慣れた字の 女の便り
『私去年いい人を見つけて 結婚したわ
あんたみたいな図ボラじゃないわ』
やたら淋しいくせになぜか
ほのぼの涙あふれて
こいつあ春から縁ぎがいい
あの娘にカンパイ
そこでやはり飲むにゃ 女がいて欲しい
向いの部屋のチョイト年増の女を誘う
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