500円のクリスマス

頭の悪いぼくたちは クリスマスなのに地元の神社で過ごしてた
神様にケツを向ける形で 冷たい石段の上 腰掛けて
雪なんか降らないよ ぼくが言う
クリスマスだし降るかもよって 君が言う
いや、降らないよ 降るかもよ
むきになってポケットの中の500円玉を賭けた

ロマンチックな空気だったからさ 君の小さな手が白いのを見てさ
そっと握ってみようかとか がらでもないこと考えて
笑った ぼくが笑った 雪なんか降らないよ

ロマンチックな空気だったのにさ 君はぼくの息が白いのを見ては
エクトプラズムみたいだとか わけのわかんないこと言って笑った
君が笑った ぼくが笑った 雪が降った

ポケットの中の500円玉をしぶしぶ手渡すと
君は振り向きざまにそいつを勢いよく賽銭箱に投げ入れた
手を合わせて神様に祈る君
どうか、来年も再来年もひとつ こんな感じでお願いします、と
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