夜を待つ二人

壊れた記憶の中 誰かが音を鳴らす
私の部屋に灯る光に呼ばれて
優しく踊る旋律
隣で貴方の手が奏でる詩は
何故か懐かしく響く

心の奥が軋む理由(わけ)をどうして忘れていたの?
時計の針が動かないのは あの日から刻を止めた証

憶えのない罪を重ねて 私でない Malice(わたし) は血を求めて
全てを奪い去る夜は 白い月も朱く染めゆく

Malice le ezte.
(あの朱かい月が欠けているように)

Rem le ezte.
(私は欠けている)

鏡に映らずとも この瞳(め)に映る君と
過ごした部屋は僕の確かな現実
呪いに囚われても 躯が朽ち果てても
心は自由になる 何処へでも往ける

Fem le neu arue, Fem le neu marie.
(貴方は新たな贄として訪れた)

Fem le vaztu la, Fem le ralie.
(貴方の恐怖は己の死だった)

君と逢うまで永別(おわり)だけを
怖れて生きてきたけど
何も云えずに 何も出来ずに
続く世界など冷たいだけだから――

触れた花片のように
貴方の面影が灰になろうと
涙が落ちたその理由(わけ)を
忘れないと誓うなら

Rem le riralee la Malice.
(私の心臓の中に魔女は居る)

Malice le ralie la Rem le ralie.
(魔女を殺すには、私を殺さねばならない)

War Rem le zarce wha.
(それなのに、この迷いは何?)

終焉(おわり)を怖れることは
弱さでなく立ち向かう強さだと教えてくれた君だから
運命(さだめ)の夜からも逃げない…

Fem le ralie la wariz.
(貴方が死ぬ必要はないわ)

Malice la Rem.
(魔女は私なのだから)

Malice le zete Roze le ralie.
(あの朱い月が満ちれば薔薇は枯れる)

Ar Rem le ralie Fem le arlie.
(故に私は死んで、貴方は生きるの)
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