その名はふるさと

一番列車に とび乗って
ふりむきふりむき ふるさとを
あゝ後にして かれこれ三年もう四年
広い 広い 都会の隅で
人目しのんで 書いた
宛名も忘れた手紙を 誰が読む

この瞳をとじれば 好きな人
帰れと呼ぶのは お母さん
あゝ忘られぬ あの山あの河白い雲
帰る 帰るつもりで買った
古い切符がひとつ
今ではあたしの心の たからもの

春にはれんげが 咲きみだれ
夏には蛍が 夜を飛ぶ
あゝ秋の風 真冬はちらちら ぼたん雪
時が 時が経つほど 何故か
じんと瞼に浮かぶ
その名もやさしい遥かな ふるさとよ
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