霧雨の繭の中で

螺鈿細工(らでんざいく)の空
うめ込まれた鳥よ
雨雲が紫檀の色に
染め変えてゆく

渡りかけて戻る 心の橋の上で
居場所などどこにもない 我が身に
雨は 降り出してゆく…

誰も 欲しくない
誰も 逢いたくない
儚い 霧雨の繭に 閉じこもる

時を映すのだろう
満月の鏡は
気高さは紫檀の色に
さえも染まらず

そしてあなたをふと 思い浮かべ怖れる
美しいその姿を この手で
ある日 傷つけたらと…

紡ぐ 安らぎよ
紡ぐ 遠き夢よ
儚い 霧雨の繭を 今破る

続く 苦しみよ
続く 遠き道よ
儚い 霧雨の繭を 後にして

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