漁火の宿

わかれ盃 なみだで干して
返すお前の 移り紅
海に揺れてる 灯火(あかり)のように
燃えて死ねたら いいと言う
窓にちらちら 漁火の宿

肌を初めて 交わした夜も
同じ今夜の 宿枕
髪の乱れを 恥らいながら
梳(と)かすお前の 肩越しに
燃えてあかあか 漁火の宿

貸した手枕 お前は外し
ひとり夜明けに 旅支度
わかれ化粧の 鏡の中に
映る灯火(あかり)は 残り火か
沖にゆらゆら 漁火の宿
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