北の螢

山が泣く 風が泣く
少し遅れて 雪が泣く
女 いつ泣く 灯影(ほかげ)が揺れて
白い躰(からだ)がとける頃

もしも 私が死んだなら
胸の乳房をつき破り
赤い螢が翔(と)ぶでしょう

ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨(うら)みを忘れて 燃えて行け

雪が舞う 鳥が舞う
一つはぐれて 夢が舞う
女 いつ舞う 思いをとげて
赤いいのちがつきる時

たとえ 遠くにはなれても
肌の匂いを追いながら
恋の螢が翔ぶでしょう

ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨みを忘れて 燃えて行け

ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨みを忘れて 燃えて行け
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