母の海

海という字を 指で書きゃ
母という字が そこにある
だから海みる そのたびに
思いだすのさ おふくろを
瞼とじれば また浮かぶ
あの日のやさしい あの笑顔(かお)が

茜色した 夕空に
母の住む町 あの我が家
秋は軒端(のきば)に 吊るし柿
年の暮れには 丸餅を
西に流れる あの雲に
尚さらつのるよ 里ごころ

海は広いが おふくろは
もっとでかいよ 懐(ふところ)が
叱りなぐさめ 励ました
いつも帰れる あの胸よ
俺もそろそろ ひとり立ち
頑張る姿を みて欲しい
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