春は名のみ

春へ続く路面電車に乗り
幼い恋 捨てに行きます

涙ぽろぽろぽろ
心ぽろぽろぽろ
憧れてた横顔
煙草の匂いがした

嫌われているなら
せつなくはないのに
いつだってやさしく
私を見つめてくれた

春は名のみ 風は寒く
線路沿いの蓮華もつぼみばかり
恋は名のみ 淡い序曲
胸でつま弾く 小さな旅人

膝の上に置いた皮の鞄
ひと駅ごと 軽くなります

涙ぽろぽろぽろ
心ぽろぽろぽろ
広がった景色に
陽射しで揺れる岸辺

元気がないよって
心配してくれた
だいじょうぶ 私なら
すぐに忘れてしまうの

春は名のみ 風は寒く
線路沿いの木立ちも描きかけです
恋は名のみ 淡い序曲
胸で結んで 小さな旅人

春は名のみ 恋は名のみ
つぼみならば もうすぐきっと開くわ
恋は名のみ 淡い序曲
響き終れば 明るい旅人
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