野バラ

いつの間にか 垣根のところに
野バラの花が咲いた。
風がふくと 青い繁みのなかで
なにやらチラチラささやきあっている。

これといって特別のこともなく、
ただ咲くことだけで
六月の記憶を残してゆく野バラ。

裏の畑に、平八つあぁんの
麦わら帽子が一つ動いて、
あとは、梅雨の合間の
まぶしい夏の光だ。
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