しぐれの海峡

こぼれて落ちた あなたの嘘を
あの時許せは しなかった
旅立つわたし 出船の汽笛
未練をなぜに 誘うのか
弱音吐きそな 女がひとり
デッキにたたずむ しぐれの海峡

別れることは 死ぬよりつらい
心の底から いまわかる
面影ゆれて 漁火ゆれて
キャビンの窓に 雨しずく
二年ひと月 つまずく愛が
わたしを泣かせる しぐれの海峡

やさしい男(ひと)は 裏切るものと
誰かがわたしに 囁いた
北行き航路 鴎がとんで
船べりたたく 波しぶき
がまんするのも 身を引くことも
愛するさだめか しぐれの海峡
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