あやめ旅鴉

故郷(ふるさと)を…
捨てて三年 流れて五年
今じゃ抱(だ)き寝(ね)の 一本刀(いっぽんがたな)
あやめ咲く時ゃヨー あやめ咲く時ゃヨー
可愛いあの娘(こ)の 夢ばかり

「男は 旅を続ける… 一天地六(いってんちろく)の 賽(さい)の目に
明日(あす)の 行く末 占って 男は 今日も 旅を続ける…」

親不孝…
詫(わ)びておりやす お袋さんよ
両手合わせる 野仏(のぼとけ)さんに
渡る世間のヨー 渡る世間のヨー
風の冷たさ 沁(し)みる夜

「西へ 飛ぼうか 東へ 行(ゆ)こか
背中(せな)の合羽(かっぱ)に 聞いてみりゃ
故郷(ふるさと)捨てた 男の旅は 行方(ゆくえ)さだめぬ 渡り鳥…」

お月さん…
義理と人情の しがらみ三度笠(がさ)が
縞(しま)の合羽(かっぱ)に 又付いてくる
潮来出島(いたこでじま)のヨー 潮来出島(いたこでじま)のヨー
塒(ねぐら)恋しい 旅の空
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