アカシア慕情

もっとぬれても 今はしあわせ
雨とあなたに みんな投げだした夜
ひとり待たせて こんな待たせて
そして思いを 影でいろどる にくいひとなのに
しのんで逢うしか
ふたりにはやすらぎもないの
みたされて じらされて
指の先で熱をもつ
アカシアの 白い花
もえて大連

胸につかえた それを云ったら
そうねあなたを 今日で見失うだけ
恋はまぼろし 絹の街道
砂にしるした ひとの行方を 風がかえてゆく
どうして女は
かなしみも愛せるのかしら
いつの日か 盗み見た
父の若い日記にも
アカシアが ぬれていた
もえて大連

どこまで本気で
たわむれでかまわないけれど
つかの間の しのび逢い
あかい赤い 紅に
アカシアを ぬれさせて
もえて大連
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