ボタン

紅茶とコーヒーが 二つ並んでいる
あぁ いつかも聞いた“またその話か”

驚いた様に 相槌を打ってりゃいい
そう 二人はこうやって上手くやってきたんだ

でも 分かってるんだ 僕だって
今そっと時計に目をやった 頬杖付いた君がまた 外を見てる

この冷めたコーヒーと 君の表情が重なって
少し ぞっとした遠い目 苦いだけの嫌な予感を
グッと飲み干して 貼り付けた笑顔を浮かべながら
窺う様に 手を繋ぐ

長い列を作って 車が並んでいる
パッ!!て僕らの手前で 赤信号になった

握り返す手には もうなんか とうに惰性の匂いがしてる
“明日は晴れるって”あぁ どうだっていいのに

言葉とかで誤魔化して 足りないところは抱き合って
それをただ 僕ら 都合良く“アイシテル、、、”ってなんか違うよな
何となく そっと 月明かりが綺麗にしてくれる
こんな薄っぺらい 僕らでも

きっと僕と同じようなこと 君もまた考えてたりして
持て余したボタンは とうに掛け違ってる

淹れたてのコーヒーが さっきまで目の前にあって
なのに もう僕らの前には 捨てられた缶が転がってる
“いつか終わるんだ”多分 君が切り出す サヨナラで
なら それまでは 続けばいい

だらしなく 都合良く それでいいなぁ なぁ なぁ
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