別れに赤い薔薇

真赤な薔薇を別れの朝に
愛したお前に贈ろう
口づけだけでこのまま二人
別れてゆくのは忍びないから
一輪の花片(はなびら)が
赤く燃える間は
憶えててくれ思い出してくれ
唇の甘い熱さを
乳房に感じててくれ
優しく切ない夢を見るように
爪立てて抱いた素肌の
匂いを………
お前の中に残った
俺のぬくもり………
花片を押し当て思うがいい

乳房に残る接吻(キス)の跡さえ
いつかは消えてゆくように
鏡の前の花瓶にさした
花片も色を失くすだろう
その日が来たら
俺のことは忘れてほしい
もう泣かないと約束してくれ
別れても俺の愛した女で
ずっといてくれ
誰かに優しくそして抱かれても
長い髪淋しく揺れる
お前の後姿を
忘れることはないだろう
最後の口づけは花片に
さよなら………別れに赤い薔薇を
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