恋女

湯上がりの
汗をおさえて 鏡にむかう
私の横には あなたがいたわ
ふたりの暮らしが ひとりになって
深深(しんしん) 花びえ 春がくる
うす紅染めた 爪さえも
あなた あなた 乾いてやつれます

便箋に
のこるあなたの この走り書き
たゝんで素肌で あたゝめながら
男の身勝手 思えば憎い
にくいと言いつつ 許してる
硝子戸濡らす 細い雨
あなた あなた しとしと泣いています

夢をみて
夢に目覚めて 寝返りうてば
あなたがいない すき間が寒い
いゝのよ誰かに 笑われたって
私は春待つ 恋女
噂をしたい こんな夜は
あなた あなた お酒が相手です
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