お前にはわかってもらえない
そうだろう俺にもわからない
何故(なにゆえ)にすべてを投げ捨てて
幻の魚を追うのだろう
お前がきらいなわけじゃない
確かに惚れてたこともある
夜明けに間(ま)のある海の上
小舟をうかべて俺はいる

噂なら鴎にきいてくれ
日の暮れにゃ波止場に戻るだろう
少年の目をして話したと
そんな風(ふう)に鴎は言うだろう
お前のすてきなやわ肌を
忘れてしまったわけじゃない
転げたボトルを膝に抱き
身ぶるいしながら俺は待つ
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