病院

ベッドの枕元に飾られた花たち
点滴を打たれないからすぐに枯れてしまう
『出来ること』は増えていく
『今まで出来ていたこと』は減っていく

歳をとるってことを少しだけポケットに入れて
終わりの予感に震えながら生きていくんだね

いくら心がボロボロになって
何かを憎んでしまっても生きてる
死んでいないなら また海まで行こうね

枕元のネームプレートには
『性別』と『年齢』と『生年月日』と『フルネーム』が汚い字で書かれてる

『生まれた日』『生きてきた日々』
『愛する人から呼ばれてきた、とてもとても愛おしい名前』
『美しい名前』が

いくら体がボロボロになって
なんにも見えなくなってしまっても生きてる
死んでいないなら また海まで

いくら心がボロボロになって
何かを憎んでしまっても生きてる
死んでいないなら また海まで行こうね

「そうだよね。また海まで行こうね!」
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