初日の夜

貴方のお芝居の 初日の夜だった
やっと幕が上り 貴方の登場
なんて立派になって まばゆいばかりよ
私は片隅で 神様に祈る

満場総立ちで ブラボーを叫ぶ
貴方は大勝利 とうとうスターに
本当にお目出度う 忘られぬ夜
私は招かれず 切符を買って観た
人種が違うとでも 恥をかくとでも
貴方は思ったのね みすぼらしい私を
けれどけれど二人は 愛し合ってきたでしょう
私は貴方に 全てを捧げた

楽屋につめかけた 人々の向うで
貴方も賑やかに 笑いさざめいて
鏡のまわりには お花と電報
私はおじけづき 一人外に出た
暗い路地をつたい 泣きながら走る
何故ならば私は ゆうべすてられたのだから
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