不倫

やるせない風が 湯上りの肌を
優しくくすぐる 海辺のホテルに
またたく漁火(いさりび) 潮騒のハーモニー
星影にゆれる レースのカーテン
若い貴方の腕が 私をそっと包み
人妻の愁いを 一時(ひととき)忘れさせ
乙女の日に かえすの

テラスに腰かけ 貝を投げている
貴方を見ている 私は年上
海沿いのハイウェイ ドライブしながら
それぞれの家へ 又帰って行くの
いけない事と知ってて 離れられないのよ
子供の寝顔に 詫びて泣いて
不倫の恋に 又身を焦がすの

末は地獄だと 恐れていながら
ほの暗い路地で 逢瀬を重ねる
乙女の頃から あこがれた夢を
やっと手にしたの 離せやしません
日毎の苦しみも 夜毎の悲しみも
たまに逢う日の 恋の炎で
焼き尽くし 燃え尽くしてしまうの
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