恋夜雨

生まれたばかりの 嬰児(みどりご)は
きっとこうして 眠るのね
あなたの広い 胸の中
雨が泣きます 叩きます
許されない恋 責めるよに
夜が心を 叩きます

乱れて流れる この髪が
いつかあなたを 縛るなら
黒髪切って 悔いは無い
カンと響いた 鹿脅(ししおど)し
何かの合図に するように
夜がからだを 引き寄せる

明日(あした)が他人に また戻す
恋は目隠し 探り鬼(さぐりおに)
つないだこの手 離さない
旅の終わりの 隠れ宿
戻れる世間は もう無いと
夜が教える 恋夜雨
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