小犬のワルツ

ねえ聞いてよ 私のカレ かわいい犬が大好きで
遊びに来たって 私に見向きもしないで 小犬と
ワン! 遊んでばかりで ワン! いやんなっちゃうのよ
小犬も小犬で うっとりしちゃって シッポを振り振り
ワン! カレをなめてるの ワン! みじめなこの私

カレは小犬を やさしく抱き 鼻の頭に キッスしてる
そばで私 指くわえて しょんぼり見ているだけなの
愛の言葉も あまいキスも カレは忘れて帰っちゃうの
いつもいつも 私ひとり残され涙

そうよこの犬 女の子だ つまり私の恋敵だ
もしもカレを取られたなら 二度と恋はできないかも
きっと私は 売れ残って 一人ぼっちのおばあちゃんよ
いやよいやよ 捨ててやるわ 憎い小犬め

さあいらっしゃい 遊びましょうよ
私のかわいい 小犬ちゃん
なんにもしないわ なぜ逃げるの?

気配を察して 小犬は逃げだす 逃がしはしないと
目尻をつり上げ 私は裸足で 小犬を追跡
キャン! ドアから外へと キャン!
あとから私も ホウキふり上げ 小犬を追う
カレを返せと 叫びながら
だけどだけど つかまらない 憎い小犬よ

ぶつかるクルマ 割れるガラス お巡りさんも 町の人も
私たちの あとを追って 息をきらせ 鬼ごっこ
町はメチャクチャ まるで戦争
やっと小犬を つかまえたら
カレがカレが 腕組みして にらみつけてた
ワン! ワン!
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