神無月にかこまれて

人恋しと泣けば 十三夜
月はおぼろ 淡い色具合
雲は月をかくさぬように やさしく流れ
丸い月には流れる雲が ちぎれた雲がよく似合う

風がさわぐ 今や冬隣り
逃げるように 渡り鳥がゆく
列についてゆけない者に また来る春が
あるかどうかは誰も知らない ただひたすらの風まかせ

神無月に 僕はかこまれて
口笛吹く それはこだまする
青い夜の空気の中に 生きてるものは
涙も見せず 笑いも忘れ 息をひそめて冬を待つ
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